80th. 浅間ミーティング コンクールデレガンスのバイク達
〜 戸井田さんのレポートです 〜


今回のテーマは「中間排気量車」という事なのだが、はて?中間じゃない排気量って何cc何だろう。って思ってみると世代や立場によって意見が結構違うんですよ。
そもそもの、市販車の排気量区分って言うのは、世界選手権のクラス分けから来ているものと思ってました。
選手権発足当時から、長いことTopカテゴリーの500cc。戦前の4スト短気筒から2ストV4まで。ファルコーネとアイローネみたいに、その半分の250。さらに半分の125。この辺まではまではわかるけど、何故か350。
50が加わったのは結構後、80はさらにその後。実際日本の車両区分もにてますよね。
レースとは別にポピュラーなのが650。750以上はさらにその後。という具合に基準になる排気量ってかなり主観的な物なんだよね。90は?400は?って言いだしたら切りが無いので、まあその辺は細かいことは言わなくても良いかな? 変に区分けしようとするからややこしくなるので、適当にしときましょう。これは違う。って断言するのはやめた方が良いと思います。
前置きが長くなっちゃいました。早速始めたいと思います。

ホンダXE75 74cc 1976年式
カブ系の水平短気筒から、ショートストローク直立短気筒へ変身したCB50。10,500rpmで6.3psだからかなりのパワーアップですが、それを 中低速重視にチューニングしたのがXE50。それを49.0x41.4というオーバースクエアにボアアップしたのがXE75という事になります。
当時カブ系エンジンを一生懸命チューニングしてミニバイクレースをやっていた連中は、「これはズルイ!」と怒ったもんです。

同じ車両でグラフィックが違うグリーンとオレンジの2台がエントリーしていたのですが、普段使わないレンズを使ったせいか、フォーカスがボケボケで、オレンジの方はお見せできる写真がこれしかありません。ごめんなさい。

ホンダ CL90 89cc 1966年式
バックボーンフレームにホンダお得意の横置きエンジンを積んだ「スクランブラー」ライト・オフロードモデルとでも言うべきかな?さすがにオフロードモデルとは言いにくかったんだろうけど、CL72等と共通するグラフィックで、フラットダートでは結構いけたのがうけて手軽な週末オフローダーには喜ばれたそうです。
意外なことに、CL50の方が後から発売されています。

スズキ ハスラー 90W 89cc 1972年式
スズキハスラーといえば、スズキ2ストオフロードモデルの代名詞。今では軽四輪の名前になっちゃってますが、一時はたくさん走ってましたよね。
90は、1970年から79年まで生産されたモデル。71年には、今で言うモタードみたいなTモデルも存在する。
ちなみに「ハスラー」というのは国内のみの名称。海外ではあんまり印象の良くない名前なんですね。

ヤマハ メイト (T90N) 89cc 2008年式
ホンダのカブが馬鹿売れしたもんだから、真似っこモデルがヤマハからも、スズキからも発売されました。その一つがこのヤマハメイト。
元々は、2ストロークでパワフルだったんだけど。実際に使われるのは、低速の短距離だから、評判が良くなくて、4ストSOHCへ。郵政省にも採用されるなど、結構がんばってはいたけれど、やっぱりカブにはかなわなかった。
このT90Nというのは、「ニュースメイト」と呼ばれる仕様で、郵政仕様のT90Tをベースにした新聞配達様のモデル。
前後のキャリアが大きく、ヘッドライト&ウインカーが前のキャリアにマウントされています。

ホンダ スーパーカブ 55cc 1963年式
そして、スーパーカブ。カブに関しては、正直ネタ切れ。ブログで何回書いたでしょうね。55ccだから、C105でしょうか?それにしても北海道ミーティングを初めとして、さまざまなイベントステッカーが貼られています。随分遠くへ行ったのね。カブ菌は恐ろしいようです。(笑)

ホンダ スーパーカブ 55cc 1961年式
そして、ご老公のカブ。水戸藩カブの本拠地に行けばわかるけど、長距離をトラブル無く走る。という前提で。同じOHVでも、ありとあらゆる順列組み合わせで、エンジンを作っておられるので、一体本当の所は何ccなのやら良くわかりません
。 電話で問い合わせると、携帯の電池が心配になるぐらい、熱く丁寧に解説していただけます。(笑)

ホンダ スポーツカブC115 55cc 1964年式
ステップスルーのC105と同時に、スポーツモデルとしてバックボーンフレームを採用したモデルが、C115。しばらくしてオフロードタイプも発売されます。
カブシリーズは、ホンダの海外進出の礎を築いたといっても差し支え無いと思います。C100が発売された翌年に、アメリカホンダが創設され、以降ヨーロッパへ進出していくことになります。「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA」
ところで、スポカブで思い出したんだけど、英国ではペダルで漕げれば免許無しで乗れたらしく、英国輸出仕様で、アルミシリンダー、OHCで5速ミッション、ディスクブレーキに、自転車ペダルが付いていて、足でも漕げるSS50があるらしいんだけど、誰か持ってません?是非見てみたいんですけど。

ビアジオ ベスパ150GS 145.5cc 1960年式
1955から製造されたVESPAの150GS。ベスパにとっては、150ccって言うのはまあ、当たり前の排気量で、他にも色々ありますが、スペアタイヤの位置とか、そこに何が入っているとか、キャリアとか。いちいちお洒落ですねえ。 オーナーはベスパと言えばこの人の大先輩。ご老公がいかにも日本のお大名であるのと同じように、こちらは全くのイタリアーノ。本当にバイクは人を表します。

ヤマハ YC-1 174cc 1958年式
おなじみYA-1の上位機種。「シャンゼリゼの濡れた舗道」をイメージしたという灰褐色のカラーリングや、国産初のモノブロックキャブレターなど、後発メーカーだったヤマハが、その技術力をアピールしたかったモデルのようですが、なんと言っても美しいですよね。 基本的には当時のトレンドなんだけど、「ヤマハここにあり」って言う気概みたいな物が感じられます。とにかく本気で作ってるよね。

ベロセット LE MKU 192cc 1950年式
ベロセットと言うと、美しいエンジンのスポーツバイク。ってイメージが強いけど、このLEは水冷192cc水平対向2気筒サイドバルブエンジンで、当時としては高級感溢れる作り。それまでのヴェロの中では最も売れたそうだけど。コストが高くて儲からなかったらしい。
イギリス警視庁が採用したんだけど、当時の警官は、出先で上官に会うと敬礼しなければならず、LEだと安定性が高いから、楽だったそうな。
浅間とは、不思議に縁の深いモデルです。

カワサキ KZ200 198cc 1977年式
KZ200の「SILVERSHOTGUN」風カスタムですね。最近はこういうカスタムをする人が減って来ちゃったから、不思議と懐かしい。
CDIを採用したりとか、話題性がないわけではないのですが、元々のデザインが地味なのと、その排気量のせいか、今ではレアモデル扱いになっています。むしろ、日本以外のアジア圏に多く生息しているのかも?

ホンダ CB200 198cc 1974年式
今回妙にホンダが多い?と思いませんか。参加23台中11台がホンダ。
それもそのはずで、実はホンダ、排気量のバリエーションが凄く多いのです。1980年までに生産されたモデルの内、2気筒の「CB」という名前が付く市販車だけでも、1959年のCB92(124.7cc)、1966年CB125、1970年CB135、1958年CB95(154,6cc)、1964年CB160、1968年CB175、1973年CB200、1960年CB72、1968年CB250、1963年CB77(305.4cc)、1968年CB350、1974年CB360、1965年CB450、1974年CB500Tといった具合。これに4気筒を加えると、さらに7タイプ、短気筒が2タイプ追加されます。「CB」だけでですよ。同タイプのエンジンで、排気量が同じものは省いてこれ。
もちろん国内では殆ど発売されていないモデルもありますが、正に中間排気量の宝庫。(笑)
友人のインサイダーは、「耐久テストをする方の身になって見ろ!」とぼやいていました。
さて、CB200ですが、これはCB125のエンジンをベースにボアを55.5mmにして198.4ccとしたもの。いわば、メーカーチューンのハイパワー版ですね。
デザイン的には125と変わらず、フロントブレーキは、購入時にドラムかディスクを選べたようです。

カワサキ KDX200SR 198cc 1990年式
水冷2ストオフローダーとしては、最後の部類に入るKDX200SR。一時期はパワー競争みたいだったこのジャンルも、燃費や排ガス規制の波に押されて、日本国内からは消えて行ってしまったモデルです。
ピーキーなエンジン特性の2ストオフローダーって好きなんだけどなあ。

ホンダ XL230 223cc 2005年式
一見懐かしのXLシリーズオフローダーに見えるけど、実は手軽なトレッキングバイクとして、旅の友となるべく作られたモデル。実際メーカー型番は、ロードモデル扱い。成り立ちは、海外輸出用の農業バイクCT200から、前後の大型キャリアを取り外してFTR223のタンクを乗っけたもの。

ヤマハ セロー225W 223cc 1993年式
トレッキングバイクとして、ヤマハのベストセラー。バイク初心者の旅の友として、その扱い易さや手軽さから、女性ライダーにも人気でした。浅間でセローというと、某御夫婦が有名ですが、家のカーチャンの旅の友でもありました。

ホンダ XR230 223cc 2002年式
これもそういったトレッキングバイクの一つと言うべきでしょう。XRとは名乗っているけどRFVCではない実用車ベースの普通のエンジン。見た目尖ってそうだけど、全然そんなことはないよね、カメラさん?(笑)

スズキ ジュベル200 199cc 2000年式
トレッキングバイクスズキ版がこれ。車検の代車でしか載ったことがないのですが、とっても扱い易く、悪い意味では無く何事も起きないのが最大の利点といった感のあるバイクです。
先ほどのXR230と比べると、ライトのサイズがライダーの違い?ミーティングいつもご苦労様です。

ホンダ XL200R 194cc 1982年式
そして、これらの元祖みたいなのがこのXL200R 。当時ホンダは「ランドスポーツ」と呼んでましたね。オフロードテイスト溢れるスポーツ車って事なのかな。
蒸し返しになるけどこいつが発売された1982年時点で、XLシリーズは6機種7タイプ。一体どうやって選んだんだろう?

ホンダ GL700 SILVERWING INTERSTATE 673cc 1983年式
GLシリーズも位置づけが良くわかりません。CXターボだけで良かったんじゃないだろうか?社内で競合するモデルばかりわんさか作ってもしょうがない気がしますが、やってみたかったんだろうねえ.
673ccというまさしく中間排気量から、インターステーツは、国内では700、海外では650。

BMW R69S 594cc 1965年式
69Sはフルレストア車のレポートを以前に書いたことがあって。(http://adiot.at.webry.info/201410/article_2.html)そちらもご覧いただけると嬉しいのですが、とにかく細部の仕上げに漂う高品質感が、現代のバイクとは大違い。機会があったら、よく見てみて下さい。面の取り方なんか。萌えますよ。

ハーレーダビッドソンFLSTF 1340cc 1990年式
通称「ファットボーイ」ターミネーターでシュワちゃんが、片手でショットガン撃ちながらぶっ飛んでた奴ですね。
ハーレーは好きか嫌いか聞かれれば、けして好きではないし、この先所有することもないだろうけど、不思議な魅力があることは認めます。何よりも、年代や形式にかかわらず、エンジン、ミッション、フレームが組み合わせ自由(厳密にはそこまで簡単じゃあないと怒られそうですが)って凄いよね。
オーナーさん、普段とは真逆のバイクなので、会場で話題に。(笑)

スズキ RE5 (単室容量500cc)1975年
ジウジアーロデザインの茶筒メーター装備のタイプ1ですね。以前から不思議に思っているのは単室容量500cc(正しくは497cc)という表記。
ロータリーエンジンは、楕円形のシリンダーの中を、おむすび型のローターが廻って1回転する間に、吸気・燃焼・掃気を連続して行う構造。シングルローターの場合、一つのローターに対して燃焼室が3つあり、それがグルグル回るのだけれど、ローターの回転とクランク軸の回転に位相差があるため、1回転について爆発は2回起きることになる。
じゃあ、燃焼室一つが500なら、3つあるから1500?爆発2回だから1000?って事でもめたんでしょうね。そんなもんで何処かで誰かが、めんどくさいから単室容量。1個分で通せ!って事になったんでしょう。実際レースの世界では、係数でもめていて最初にロータリーエンジンが出たときは2倍換算。徐々に変わって1.4位になったのかな?

排気量で始まって排気量で終わる今回のブログでございました。

ではまた。


終わる